住まいの基礎を考える

ベタ基礎の落とし穴

住宅の基礎といえば、古くは土を固めた上に石を置いて柱を建てる「独立基礎」でしたが、柱の下部を相互につなぐ「土台」が用いられ、次いでその土台の下を、自然石の切石やコンクリートで連続して設ける「布基礎」に変わってきました。
しかも現在では、鉄筋の入った「71チング付きのコンクリート布基礎」が一般化しています。
しかし、最近は、とくに三階建てに多いのですが、「ベタ基礎」といわれる基礎工法がよく見られるようになりました。
この工法は住宅金融公庫の「木造住宅工事共通仕様書」にもその参考例が示されています。
ただし、かなりいい加減なグベタ基礎なるものもよく見かけるので、注意してください。

ベタ基礎は土間コンではない

地盤を転圧し、砂利を敷き均した上に1センチ径くらいの鉄筋を30センチ間隔にタテ・ヨコに並べて、コンクリートを12センチ程度打設したのを「これはベタ基礎です」などといっている場合があります。
しかし、こういうものはベタ基礎とはいえません。
これは鉄筋入りの”土間コンクリート”(土の代わりにコンクリートを使った土間)の上に建物を載せているようなもので、「欠陥の起こる確率は非常に高い」といえます。

ベタ基礎は、地盤の状態にもよりますが、通常の場合でコンクリートの厚さは12センチから18センチで、鉄筋は1センチから1.3センチの径のものが、15センチの間隔で一層または二層(、ダブル筋)にタテ・ヨコに入っていなければなりません。
さらに、そのコンクリート版の下には、少なくとも3.6メートル以下の間隔で鉄筋の入った「地中梁」というものがなければならないのです。
ベタ基礎は、「専門家が構造計算をし、コンクリートの厚さ、鉄筋の太さや間隔、地中梁の位置とその大きさ、鉄筋の量を厳密に決めた」ものだけをいうのだということを覚えておいてください。

ベタ基礎は水周りを制約する

そもそもベタ基礎が一般化したのは、独立基礎や布基礎に比べて安定性が高く、とくに軟らかい地盤や、地震のときに不同沈下が起こりにくいためです。
しかし、もう一つ、施工の合理化のためという理由もあります。
布基礎だと、フーチング部と立ち上がり部のコンクリート打ちを二度に分けてしなければなりません。
これは、もちろん一回でできないことはありませんが、その場合、立ち上がり部の位置の精度を保つために大変な苦労を要します。

一方、ベタ基礎は立ち上がり部が少ないので、精度が確保でき、コンクリート打ちを一回ですませられます。
これが、とくに狭い道路と小さい敷地の場合には有効で、しかも工費の低減にも通じるというので、現在のように多く行なわれるようになったわけです。
しかし、ここに別な課題も生まれました。
それは、排水管や給水管がすべてコンクリートの下方に埋めこみになってしまう、ということです。
とくに排水管の場合は、その位置が正確に出ないために、それに接続する管に曲がりなどが必要となり、排水の流れを悪くするとともに、漏水などの補修を困難にしているのです。

この問題を解消するために、前頁の図のようにピットなどを設けているのですが、これも、排水などの位置がまとまっていない場合は、ピットの部分が多くなり、施工上の困難が増えてしまいます。
そのため、「給排水管の多い水回りを集中させる」など、平面計画上での考慮が必要となります。

こうして見てくると、ベタ基礎が最善であるといえないことがおわかりでしょう。
その得失を見きわめることは専門家でも難しいのです。
ベタ基礎がとくに必要だという場合のほかは、布基礎のほうがよいこともあるということを知っておいてください。